武蔵野市の銭湯「元の湯」が2012年3月3日、閉店しました。
東京銭湯の定番様式である宮造り建築の外観は、堂々として美しいものでした。武蔵境駅から徒歩数分という立地条件にもかかわらず、広々とした駐車場にも恵まれていました。
大正、昭和、平成と三代にわたり90年間営業を続けてきたそうです。長い間本当にお疲れ様でした。
はやくも4月12日、解体工事に先立って工事の無事を祈願する御払いが行われ、翌週から解体工事が開始されたということです。
今はもう、あの建物はすっかり取り壊されてしまったことでしょう。何とも残念でなりません。そのうち、ビルかマンションが建つのでしょうか…
「元の湯」には、伝統的な東京銭湯の姿が残っていました。
天井の高い広々とした浴室。富士山のペンキ絵。脱衣場の天井は、格子状に組まれた木板の「格天井」。よく磨かれた木の床。玄関には、鍵付きの下駄箱のような横長の傘入れ。もちろん、フロント式ではなく番台式で、そこには評判の優しい女将さんが座っていました。
配管や給湯設備などが老朽化し、改修に高額な費用がかかるために、やむをえず廃業を決断したということです。
近年、全国各地で銭湯が廃業し続けています。後継者不在や、燃料費の高騰などが要因となっているようです。燃料費の他に、広い浴室と脱衣場の照明代、エアコン代など、電気代もかなりかかるにちがいありません。
今回の東京電力の電気料金値上げが、関東の銭湯に追い撃ちをかけることになることは間違いありません。 (ゆ)
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武蔵境の住人 (土曜日, 07 7月 2012 14:40)
私も、武蔵境の元の湯にはよく行きました。
この前、程近くにある千代の湯に行ったらビックリ!
元の湯にあった体重計が置いてありました。
少し軽めに表示される体重計です。まさに元の湯の体重計でした。
藤田光彦 (水曜日, 26 10月 2016 23:15)
残念さみしい