コラム:知的資産の活用

 今回は、「知的資産」の特性と、どのように活用すれば企業価値の創出をもたらすのか考えてみたいと思います。

 「知的資産」は有形資産とは違った特性を持っていることに気付きます。

 

 第一の特性は、「知的資産」の非競合性です。これは複数の者が同時に、かつ反復的に使用可能な特性をいいます。有形資産(例えば自動車など)は、ひとりが占有していると他者は同時に使用することはできません。生産性もひとりでできる分しか上がりません。ところが「知的資産」は、無数のユーザが同時に使用して企業価値を高める活動につなげることができます。

 第二の特性は、「知的資産」は蓄積することができるという点です。蓄積することによって、さらに新しい「知的資産」が開発され、収益は増大します。アイデアや知識・情報等の「知的資産」は蓄積的であり、利益を増大させる特性を持っています。

 第三の特性は、特定企業依存性または特定状況依存性です。他企業が容易に真似できないというものになります。

 最後に、第四の特性はネットワーク効果です。これは、ネットワークの規模が拡大するほどに相互に関連し合う人は増加するので、ネットワークの構成メンバーとして得られるベネフィットも増大するという特性です。

 

 このように四つの特性を持った「知的資産」は、人的資産、構造的資産及び関係的資産の側面から、価値創造をなす種々の無形価値ファクターが相互に作用し合い結合しながら、全体としてキャッシュ・フローの創出をもたらします。

 経済産業省の知的資産経営の開示ガイドラインにもあるように、「企業の持続的発展のためには、差別化の源泉として、人的、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の『知的資産』を活用した、他者が真似ることのできない経営のやり方が重要」なのです。

 企業が設定した経営理念・戦略を実現するための手段として、自社の強み=「知的資産」を活用して、我々は何処にいて、何処に行きたいのか、挑戦すべきことは何か、そのためにどのような「知的資産」が必用か専門家を交えて議論し、確認しながら進めることも必要です。

 経営理念・戦略を「知的資産」の組合せで価値創造のストーリーを策定し、管理指標としての価値創造の可視化が必要になってきます。

 知的資産経営報告書の作成と、報告書を通じてステークホルダーに開示することによって、知的資産経営がスタートします。

 

 次回は、知的資産の拡充化の背景について考えてみたいと思います。

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